文系のための数学教室 (講談社現代新書)



文系のための数学教室 (講談社現代新書)
文系のための数学教室 (講談社現代新書)

商品カテゴリ:物理学,化学,数学,地学,科学,学習,知識
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「数学嫌い」から「数学下手」へ

「数学嫌い」から「数学下手」へ。
この本を読んですぐに数学が上手になるわけではない。数学が好きになるための第一歩になればというスタンスで書かれている。

「文系のための」と題打たれているが、ここでの文系とは経済学・政治学といった社会科学の分野である。
数学を好きになるための肝はイメージ化と論理と法則といえようか。数式・数字からグラフなどを用いてイメージを形成する。無味乾燥に見える数式から具体的なイメージをいかに引き出すかのヒントを著者は多く提示している。また、何にでも法則を見いだすことの面白さも紹介している。一見、数学とは縁遠いような民主主義や神の存在証明にまで数学が使えるとは。大学の講義で数学と論理学の違いは数字を使うか言葉を使うかの違いだと聞いたことを思い出した。

一つおすすめのトピックスをあげるとすれば、セマンティックとシンタックスである。
「正しいこと」と「証明できること」は別である。なるほど、論理的に話しているように見えても全く話がかみ合わない議論とはこのセマンティックな議論であるのだと納得。お互いシンタックスに依拠した話を展開すれば、賛同するかは別にしても理解はできるだろう。日本ではセマンティックな論理学が教授され、シンタックスな論理学はまだまだのようである。ディベートが苦手なのもセマンティックに議論を展開させようとするからであろう。

今更

「民主主義的な選択の不可能性」を数学的に証明している。しかし、「だから、民主主義はダメなんだ」と価値観には踏み込んではいない。とはいえ、「民主主義的な選択の不可能性」の証明は、本質的なものとは思えない。「等価な選択肢」も「等価な点数評価」もありえない不合理な現実が出発点であると、既にして暗黙に選挙民は理解しているのではないだろうか。
それでも、敢えて問題提起したことを評価するか否か。私は、後者であった。「今更」という感想だ。
悪くはないが、企画自体にやや無理がある。

著者は数学科を卒業後、予備校や受験雑誌等で数学を教えていたが、最近は経済学の研究者として活躍中の人。言うまでもなく予備校は日本の社会で「教える能力」について競争が成立している唯一の場であり、そこで経験を積んだ著者の説明は極めて明快で、門外漢にも理解できるよう良く工夫されている。

ただ、本書のコンセプト自体に若干無理があった感は否めない。理系の人から見れば「文系」は皆同じに見えるかもしれないが、同じ文系でも法学と経済学と哲学と心理学では物の見方や思考方法が全然異なる。本書では著者はなるべく幅広いトピックを取り上げようと努力したようだが、その結果やや散漫になっている。

内容を個別に見ると、冒頭の「微分積分読解法」は掴みとしては良い。次の論理の話も悪くない。続く距離空間の話になると、私には理解不能な「数学の美しさ」が強調されてガックリ。その後の民主主義とオプション取引の話は分かりやすくて良い。最後の哲学モドキは正直「?」で、他の章とは明らかに異質な感じ。著者が数学道具主義に反発を覚える気持ちも分からないではないが、そうした「数学の美しさ・楽しさを他人に啓蒙しようとする態度」こそが数学嫌いの人には趣味の押し付けにしか感じられなず、反発を生んでいるのだということも理解してほしい。ツールとしての有用性を強調した方が、「文系」の人間にはよほど広く受け入れられるのではないだろうか。

ともあれ、価格分の値打ちは十分にある。週末に一日で読み切る本としては、オススメもできる一冊である。
数学とは何か?

微分・積分の記号が出てきたら、それをどう理解すればよいか、論理式って何、数学での距離とは、民主主義を数学で考えると、オプションの価格決定、哲学者たちは数学をどう考えたか?等を材料に、「数学とは?」を探っていく本です。

数式も少々出てきますが、方程式を解くとか、何かを証明する、という点は少ないです。むしろ、その意味とか、背後にある数学的な考え方を説明している本です。ですので、教科書・参考書とは、全く違ったものです。「数学を勉強する」本ではなく、「数学とは、本当はどんな学問のだろう」という本でした。

「数学が使えるようになる」とか「XXXレベルの数学が理解できるようになる」本ではないですが、数学に対する考え方を、変えてくれる本です。

ちょっとヤヤッコシイところも、さすがにありましたが、飛ばして読んでも、十分楽しめるし、筆者の言いたいことは伝わってくる本でした。
意識の転換

 本書は、数学を好きになるための本なのである。
好きこそ物の上手なれというように、何かを学ぶためには、
それを好きになることが一番である。
つまり本書は、数学の入り口になる本といえる。
難しいが、入り口から先は自分で探すことになるだろう。
 具体的内容は次のとおり。

1、学校では習わない微分積分。数学嫌いを直す第一歩。
2、昨今の流行、論理的な思考について。
  そもそも論理的とはどういうことなのか。
  数理論理学を用いて解説。
3、距離という概念。ただ長いとか遠いとかいうだけでなく、
  これを数学を用いて説明することで、
  従来の発想にとらわれない、考えの自由度を得る。
4、パスカルという研究者は、バクチから見出した確率論を用いて、
  神の存在を証明してしまった。現代の確率論は格段に進歩したが、
  その最たる理論であるブラック=ショールズを、
  中学生レベルの数学で説く。
5、数学的感覚は、われわれの中にすでに潜んでる。
  今後の数学のあり方を、教育問題も絡めて述べる。

 本書をきっかけとして、僕は数学を学びたくなった。
数学の力は多岐に渡り、決して役に立たない学問ではないことがわかった。これほど応用力を持った学問は他にないのである。
そして、数学は苦手だが、苦しいとは思わなくなった。
 なぜなら、本書で数学を好きになったからである。



講談社
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文系のための数学教室 (講談社現代新書)

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